地盤と地名:嶋内雅人のブログ
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中断前のメルマガで、動物の名がついた地名を取り上げました。今回は、その続きを書いてみます。
クマ」は、もともとは奥まって目立たない隅を表す言葉です。地名では、地滑り地や河川が湾曲して水があたる部分を表すことが多く見られます。「熊」があたられることが多いですが、球磨川・久万といった例があります。2020年7月に、球磨川が氾濫しましたことが思い出されます。
「サル」は、「ズレル」の転化のザレ・サレが変化したものです。崩れやすい場所を示す崩壊地名です。地滑りが堆積した場所を示すこともあります。猿橋・猿倉山・猿投(さなげ)・猿田峠などの例があります。そういえば、登山用語で「ザレ場」は山が崩れて小石がたまった場所をいいます。
蛇をあてることが多い「ジャ」は土砂の流出や堆積を示す崩壊地名です。「蛇崩(ジャクズレ)川」「蛇喰(ジャバミ)」などがこれにあたります。
「ツル」や「カメ」にはめでたい印象があります。しかし、どちらも災害地名であることが多くみられます。
「ツル」は水流のことで、河川沿いでは洪水を意味し、山間部では土石流を意味します。「鶴岡」「鶴居」など「鶴」をあてるほか、「都留」もそうです。
「カメ」は、亀の背のように水の中に浮く島を表すこともありますが、多くの場合は「瓶」のような浸食地形を表します。また「噛メ」から、浸食地名や浸水しやすい地名を表します。亀田・亀山・丸亀など全国でみられます。
「カジカ」は河鹿や鰍があたられます。しかし「崩(カジ)処(カ)」で崩壊地名です。山梨県の「鰍沢」や岐阜県郡上八幡市八幡町「河鹿」などがあります。
「カモ」は「カマ」から転じた、えぐり取られたような地形や低湿地の浸水地名です。「鴨島」「鴨川」などのほか、「美濃加茂」などもこれにあたります。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
大相撲秋場所で、平幕玉鷲が優勝しました。年6場所制となった1958年以降で最年長優勝だそうです。快挙ですね。
ところで、大相撲が行われるのは国技館です。国技とありますが、法令で定められたものではありません。
海外では定めている国が多いそうです。カナダでは、アイスホッケーは冬の国技でラクロスは夏の国技と定めているそうです。ただ、定めたのは1994年のことで、近年のことです。
さて、国技の相撲です。1909年に、両国に相撲の初の常設館ができました。これまでの相撲は、勧進相撲として寺や神社の境内で、その都度小屋掛け興行を行っていたのです。
この建物にどんな名前をつけるか?
当初は単に「常設館」という名前を予定していました。しかし、当時の江見水陰という文士が開館の起草文に「相撲は日本の国技なり」と書いたそうです。
それを見て、角界幹部の尾車文五郎が「おお、これでいいではないか」と喜んで「国技館」と呼ぶことを提案したとか。
これが相撲が国技と呼ばれるようになった始まりだそうです。意外と新しいのですね。伝統といえるのかどうか。
ところで、優勝した玉鷲は日本国籍を取得しているとはいえ、モンゴルの出身です。国技ねえ。