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都市計画道路:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12252361160.html

今回は、裁判と不動産価格の話です。

◎事件の概要
Xは、業者の紹介で1964(昭和39)年1月に土地と建物を500万円で買いました。代金を全額支払い、所有権移転登記も完了しました。

ところが、その土地が1946(昭和21)年に都市計画決定された街路の中にありました。この事実が判明したのは、約3年後の1967(昭和42)年4月でした。

そこで、Xは売主Yに対して損害賠償を請求しましたが、Yは「すでに人が住んでいて、事業が実施された場合には補償があるから損害はない」と主張したため、裁判になりました。
(大地判決昭47.3.21)

◎判決
損害賠償を命じました。

◎解説
裁判所は、「都市計画街路に決定されると早晩建物の撤去を余儀なくされ、事業実施前においても建築の制限を受けるため、土地の取引価額が下落するのが一般的である」としました。

また、「知らずに買い、知らなかったことについて過失がないときは隠れたる瑕疵があり、廉価であるべき物件をこれを知らなかったため通常価格で買い受けたことが損害である」としました。

なお、Xは、この事実が判明した後、事情を話してこの土地建物を他者に転売しています。

この損害賠償額は「39万円」であるとして、たとえ転売によって利益を得ていても、Xの損害に変わりはないと判示しました。この39万円は、土地建物価格の500万円と比較すると、7.8%の減価に相当します(建物価格は0と仮定)。

◎不動産鑑定の見地から
都市計画道路に限らず、都市計画で定められた都市施設(公園・緑地・交通施設・公共施設など)の区域に建築物を建築しようとするときには、都市計画法第53条の規定により、あらかじめ都道府県知事(指定都市の場合は市長)の許可を受けなければなりません。

ただし、次の全てに該当するものは原則として許可されます。①階数が2以下②地階がない③主要構造部(壁・柱・はり・床・屋根・階段)が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造、その他これらに類する構造。

しかし、許可されたといっても階数が制限されるのですから、本来ならば高層の建物が建てられる土地の場合は、土地価格が下がります。これを見落とすと、求められた鑑定評価額は間違いということになります。

なお、対象土地は、1946年に都市計画決定されています。おそらく、戦災復興都市計画によるものでしょう。


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


パソコンの調子がおかしくなり、復旧に時間を要しました。そのため、配信が2月にずれ込んでしまいました。お詫び申し上げます。

さて、私が仕事でパソコンを使うようになったのは、確か1999年頃と記憶しています。

当然のことながら当時のパソコンの性能は、現在のものに比べてはるかに低いものでした。

こんな冗談がありました。

パソコンメーカーの経営者が自動車メーカーの経営者に、こう言ったそうです。「パソコンは日進月歩ですよ。それに比べて、自動車はほとんど進歩しませんね。」

自動車メーカーの経営者は、こう答えました。「自動車がパソコンのようになると、一日に何度もエンストするでしょうね。また、新しい道路ができると、そのたびにエンジンをインストールし直さなければならないでしょう。」

ですから、その当時は「こんなものが机の上にあって邪魔だな」と思ったものです。

置き場所に困るので、「場所困(ばしょこん)」などと揶揄されていました。