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自然公園法の許可:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12365727664.html
美しい自然が失われていくのを見るのは、つらくてイヤなものです。最近では、沖縄でも。自然公園内の土地について、こんな判決がありました。
◎事件の概要
Xは、1983(昭和58)年に不動産業者から瀬戸内海国立公園の特別地域内にある宮島の分譲地を買いました。
この分譲地に木造2階建の住宅を建てて販売しようとし、建築確認申請をしたところ建築確認を得ることができました。
しかし、その土地が特別地域内にあるため自然公園法についての許可を得られず、また、風致地区内にあるため都市計画法による許可を得ることができませんでした。
そこで、Xは知事等を相手にこの不許可処分の取り消しを求めました。
(広島地判昭57.12.16)
◎判決
建築物について合理性がなく、処分の取消請求を退けました。
◎解説
この土地は、上記のように国立公園の特別地域内の宮島にありました。風光明媚な瀬戸内のおだやかなところです。このような美しい風景や景観は、私たちの共有財産というべきものです。
公共性を有する美しいものは、後世に伝えるべき財産として当然に保護されなければなりません。
裁判所は、「風致を維持する必要性が最も高く、その景観を極力保護することが必要」と表現して、特別地域に基づく保護が妥当であると判示しました。
「建築が同景観を著しく阻害し、風致を著しく不調和とする反面、その建築について格別の合理性がない」としました。よって、「不許可処分は合理的な裁量の範囲内と認められる」と、知事等の不許可処分が妥当であるとしました。
◎不動産鑑定の見地から
都市計画区域内や準都市計画区域内の土地に建物を建築するためには、建築基準法に基づく建築主事の建築確認を得る必要があります。
通常は、建築確認を得れば建築が可能ですが、そうではない場合があります。
市街化調整区域内の土地であれば、市町村長の開発許可や建築許可が必要です。
本件は、自然公園法が問題となりました。ある土地について、建築基準法や都市計画法以外の法律が適用されることがあります。
これを見逃してしまうと、誤った鑑定評価額を求めることになってしまいます。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
春ですね。昨日は仕事で外出しましたが、あちらこちらで桜が満開に近く咲いていました。花見の出かける方もいらっしゃることでしょう。
私も、以前に勤めた会社では、職場の人たちと花見をしたことがありました。
東京にある職場ですので、場所は上野公園。大変に混みました。
場所を見つけるのが大変でした。勤務時間内に誰かが場所取りをすればいいのでしょうが、そういう慣習はありませんでした。同じような集団がウロウロと場所を探し回っています。
その点、退職された方はいいですね。仕事をしていないので、朝早くからでも場所取りができます。そういえば、高齢の方が多かったような。
花酒爺とは、こういう人たちのことでしょうね。枯木に花は咲かせませんが。