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底地の評価(法人税申告):嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12814463613.html

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│1│ 今回の評価実例:底地の評価(法人税申告)
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今回の案件は、税理士さんからの依頼です。法人が所有している土地を、その法人のオーナーに売ります。

底地というのは、貸している土地のことです。評価対象地には、定期借地権が設定されています。

まず、更地価格を求めます。周辺の土地よりもかなり面積が大きいため、この土地の需要者は宅地開発業者であると考えられます。宅地開発業者は、この土地を購入し、戸建住宅用地に分割して販売します。

このような面積の大きい土地を評価する場合は、CADを用いて分割想定図を作成します。分割後の土地の売値から造成費・業者利潤等を差し引いて、土地の価格を求めます。プロジェクトの採算性に着目するわけです。この評価手法を開発法といいます。

底地には、土地の所有者が建物を建てることはできません。地代の徴収権があるだけです。

定期借地権なので、契約期間が終了すると土地は更地となって返却されます。ですから、底地の価格は契約期間内の地代にもとづく収益と、将来戻ってくるであろう土地の価格とを加算したものになります。

ただし、これらは将来実現するものです。現在の価格ではありません。そこで、一定の割引率で現在価値を求めます。

広い土地と定期借地権、二つの論点がからんだ評価になりました。


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│2│ 不動産鑑定評価の知識:鑑定評価の手法・試算価格・試算賃料
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前回は、鑑定評価の方式についてご説明しました。3つの観点、すなわち費用性・市場性・収益性から考えて、価格または賃料を求めるというものです。

これを価格を求める場合と賃料を求める場合とに具体的に当てはめたものが、鑑定評価の手法です。鑑定評価の方式と紛らわしいですが、区別しています。

価格を求める鑑定評価の手法には、原価法・取引事例比較法・収益還元法等があります。賃料を求める鑑定評価の手法には、積算法・賃貸事例比較法・収益分析法等があります。

それぞれの手法を適用して求めた価格を試算価格といいます。賃料を試算賃料といいます。

鑑定評価額とするためには、それぞれの試算価格の適用の適否や信頼度等を判断してからのことになります。

次回は、価格を求める鑑定評価の手法についてご説明します。


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│3│ 編集後記
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職人(永六輔)より

「近頃の若い連中だって、きちんと説明してやれば、けっこう仕事をこなしてくれます。
 やあ、見事なものだと思うときもあります。
 〈好きなようにやってみな〉というと、何にもできないのが不思議です。」

永氏は、なんでもマニュアル化していることこのことが原因で、マニュアル化は○×式教育にぴったりだと書いています。

さらに、有名な話だと断って、「氷がとけて□になる」という問題をとりあげています。□に入る漢字を答えるのですね。正解は水。

ところが、春と書いた子がいました。×になりました。でも、永氏が主張するように、この子にも○をあげなければいけないでしょう。

古今和歌集に紀貫之の詠んだ次の歌が収められているのですから。

袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ

その子の感性は、紀貫之に通じるものがあると思います。