埋蔵文化財包蔵地:嶋内雅人のブログ|新着情報

NEWS

TOP > 新着情報 > 埋蔵文化財包蔵地:嶋内雅人のブログ

埋蔵文化財包蔵地:嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12814541045.html

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の舞台となったのは、神奈川県鎌倉市。幕府が置かれた古都には、あちこちに文化財が埋まっています。埋蔵文化財にについて、こんな判決がありました。

◎事件の概要
1978(昭和53)年に、Xがビルを建てるために土地を掘削していたところ、市から「その土地は周知の埋蔵文化財包蔵地である」と知らされました。

そこで、発掘の届け出をしたところ、3カ月にわたって発掘調査が行われました。Xは、財産的負担のある行政指導は違法であるとして、市に損害賠償を求めました。
(東京高判60.10.9)

◎判決
違法なものではなく、発掘者が受忍すべきであるとして、損害賠償の請求を認めませんでした。

◎解説
文化財保護法の規定による発掘調査の指示(当時57条の2 現行92条)は、埋蔵文化財包蔵地の発掘を許容することを前提とし、土木工事等により貴重な遺跡が破壊されることを未然に防止しようとしています。

裁判所は「その指示により、発掘者がある程度の経済的負担を負う結果になるとしても、法の趣旨を逸脱した不当に違法なもの」でない以上は「原因者たる発掘者において受忍すべきもの」としました。

この原則は、開発利益の帰属する側に、その負担が行われるべきであるという行政法規における受益者負担の原則とみることができます。

さて、都市計画法にみられる受益者負担の原則は、昭和の初期に大阪市長だった關一氏が、中央区にある「御堂筋」を築造したときにはじめて採用した手法です。

当時「御堂筋」の土地所有者は、道路用地として土地を収用され、かつ、受益者負担金を徴収されました。評判が悪く、關氏は議会で大変攻撃されました。

關氏は、若いころにパリの市街地を見て、日本にも都市計画が必要であることを痛感したといいます。關氏は、生前「今は評判はよくないようだが、100年後の市民はこの御堂筋をきっと喜ぶと思う」と話していたそうです。

關氏は、さらに大阪高速鉄道(現在の地下鉄御堂筋線)の建設及び大阪城の復興を計画し実施しました。

關氏が亡くなったときは、1冊の英語の辞書以外は財産らしきものがでした。生涯、借家住まいでした。

◎不動産鑑定の見地から
埋蔵文化財包蔵地は、建築にあたって所有者が発掘費用を負担しなければならず、さらに調査が行われている期間だけ建築着工が遅れて収益も得られません。それだけ、土地の価格が低下することになります。


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


コロナ禍でZOOM会議が一般的になってきました。

直接話し合ったほうが議論が深まると思いますし、会議が終わったあとの飲み会の楽しみがないのは残念です。しかし、その一方で無駄話がなく効率的に会議が運営されたり遠方の人も参加したりと、もちろん利点もあります。

ただ、思いがけないトラブルもあります。

ある会議でのこと、背景に指定した絵は画面に映るのですが、私の姿が全然写りません。やむを得ず、音声だけで参加しました。

会議のあと、ブラウザの設定がおかしいのではないかと思い調べましたが、わかりません。

さらにウェブを検索すると、パソコンのカメラのレンズにはシャッターがあるとのこと。レンズのあたりを触ると、なにやら動くものが。動かすと、レンズの窓の色が黒に変わりました。

その状態でZOOMを起動すると、私の顔が画面に映りました。これだったのか。ああ、こんなアナログなことで悩んでいたとは。