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市役所の担当者の回答誤り:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12814542539.html
用途地域は建物の建築の可否を左右します。こんな判決がありました。
◎事件の概要
Xは、1989年1月に、不動産業者から用途地域が近隣商業地域であるとの重要事項説明を受け、ビルを建てるために土地を購入しました。
ところが、同年3月にXがその土地に建物を建てるために建築確認申請を行ったところ、近隣商業地域の指定は同年10月からであることが判明しました。このため、ビルの建築が225日遅れる結果となりました。
不動産業者は、売却に際してこの土地について市の担当者に聴取したところ、市の担当者は近隣商業地域であると回答していました。
Xは、この不動産業者と市に対して、工事費の増加分と借入利息の増加分について損害賠償を求めました。
(東京地判八王子支判平4.10.27)
◎判決
市に対して329万円の支払いを命じました。
◎解説
用途地域は、建物の大きさを規制するだけではなく、その用途についても規制します。そのため、社会全体に大きな影響を与え、用途地域そのものが不動産の価格水準を形成する要因となっています。
裁判所は、「用途地域を所管する公務員は、用途地域に関する照会について必要な調査を尽くし、正確な回答をなす義務がある」としました。
また「縮尺1万分の1の概略図により、詳細図面で確かめることなく誤った回答をした」と指摘しました。
◎不動産鑑定の見地から
裁判所の判断は妥当だと思います。
縮尺1万分の1の概略図と詳細図面があるとしていますが、この詳細図面は、市役所等の窓口で申請しなければ閲覧することができない場合があります。しかし、このような事態を避けるために、積極的に詳細図面で確認をすべきでした。
昨今は、自治体のウェブページで都市計画図を閲覧できるようになり、かなり便利になりました。しかし、その土地が用途地域の境に存在する場合等は、私は必ず窓口で確認しています。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
不動産鑑定を行うためには、土地の取引事例が必要です。神奈川県不動産鑑定士協会に所属している私は、神奈川県内の土地の取引事例は、パソコンでいつでも閲覧・収集ができます。
他の都道府県については、予約の上、LINEのビデオ通話で本人確認を行ってから閲覧・収集します。
先日のこと、他県の不動産の評価のために本人確認後にウェブサイトにアクセスしようとしました。
ところが、いくら操作してもアクセスできません。1時間の制限時間がどんどん経過していきます。やむを得ず、別のパソコンを操作したところ、やっとうまくいきました。
なぜかと思ったら、最初のパソコンがはVPN接続するように設定してあり、それが障害になったのでした。
安全のために措置をしておいたのですが、こんな事態になるとは。やれやれ。
7月14日(金)18時30分~20時30分に「相続税不動産評価の問題点」というテーマで、学習会を開催します。このメルマガの上の方でもご紹介した、「路線価は本当に正しいのか」も取り上げます。
主催は、神奈川税経新人会。会場は、横浜市神奈川区泉町1-1税理士法人コンフィアンス会議室です。
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使用する資料は89ページにもなりました。それだけでも価値があると自負しています。