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軟弱な地盤:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

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今回は、地盤と安全な土地の話です。

前回の号外は、東京の地盤には軟弱なものもあれば、堅固なものもあるということを取り上げました。今回は、東京都の東側・下町などの低地に広がる軟弱地盤について前回よりもやや詳しくご説明します。

気候の変化の区分には、氷期と間氷期があります。氷期とは氷河が発達して寒冷な気候になった時期をいい、間氷期とは氷期と氷期の間で氷河が後退して温暖だった時期をいいます。現代は間氷期です。

氷期と間氷期とでは思ったほどの気温の違いなく、地球の平均気温で数度程度です。氷期には、東京湾や大阪湾などの内湾は、淡水化したり干上がったりしました。数度の変化でこのようなことが起きるのですから、今問題となっている地球温暖化によってどのようなことが起きるか、想像に難くありません。

約1万年前になると、最後の氷期が終わり気候は再び温暖になりました。このころは、海水面は現在より3m程度高かったそうです。そのため、海岸線が内陸まで入り込み、現在の東京や大阪の低地のほとんどが海面下にありました。この現象を「縄文海進」といいます。

その後、現在から約2,000年前に始まる弥生時代のころには、海水面が下がり、海であったところには低湿地帯が広がり平野ができました。縄文人は台地で生活していましたが、弥生人は低地で稲作を行いました。

海水面が下がったころ(海退)には、内湾は干上がっていたため、川が運んできた砂が堆積します。その後、海水面が上昇すると今度は粘土が堆積します。これを繰り返し、現在のように海面が下がった時期には砂が堆積したのです。

この一番新しく砂が堆積した層が、液状化を起こす地層です。このような低い平地は豊かな農地となりましたが、他方、以下のような問題があります。

○地下水位が高い。
○河川や海の水面と土地の高さとが近い。
○地表面の下に軟弱な粘土層が厚く堆積しているため、簡単に地盤沈下する。
○地表面に緩い砂層があり、液状化の危険が高い。

なお、これらの問題があるのは東京東部の低地に限られません。大阪の低地・名古屋西部の低地・新潟市・広島市・岡山市南部・佐賀市なども同様の問題を抱えています。よって、地盤沈下・洪水・地震時の液状化の恐れがあります。