地上阻害物:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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対象地の近くに鉄道高架線がある場合には、土地利用上の制約を受けることがあります。そのような場合には、制約を受けない土地に比べて価格が下がることになります。
その要因としては、高架線下地であるがための高さ制限がまず考えられます。また、対象地が住宅地にあるとすれば、居住の快適性に与えるマイナス要因があるでしょう。例えば、騒音、振動、日照・採光の不良等です。
では、どの程度の減価が考えられるでしょうか。高さ制限を受ける場合について検討します。
まず、対象地が所在する地域についてどのような利用方法が標準的であるかを調査します。そして、対象地が仮に高架線による高さ制限を受けないとした場合に、何階建ての建物を建築することができるかを判定します。
次に、高架線があることを前提とした利用可能階数を判定します。これらを基に、高さ制限を受けることによるその土地の価値の割合(更地価格に対する割合)を査定し、土地の価格を求めることになります。
この場合の数式は、次のように考えられるでしょう。
(更地価格)×(高さ制限を受けることによる対象地の価値割合)=(高さ制限を考慮した対象地の価格)
価値割合を求める際に参考にされるものの一つに、「公共用地の取得に伴う損失補償基準」に掲げられている階層別効用比率があります。
ここでは、この基準を基に検討します。高さ制限を受けないと想定した場合の利用可能階数を6階、制限を受ける現状ではそれを2階とし、階層別効用比率を1階100・2階80・3階~6階各70と仮定します。
この場合の、高さ制限を受けない場合の効用比率総計は、次式により求められます。
100+80+70×4=460
受ける場合は次式です。
100+80=180
よって価値割合は次式です。
180÷460≒0.39
更地価格が300,000円/㎡ならば、対象地の価格は次式で求められます。
300,000円/㎡×0.39≒117,000円/㎡