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位置指定道路でない私道:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12122094320.html

◎事件の概要
Xは、不動産業者Yから土地を買いました。その際に、予定の建築物が建築できるとの説明を受けて簡易建物を建築し、仮住居にしていました。

ところが、土地が接面する道は単なる私道で、建築基準法所定の道路の位置指定を受けていず、建築確認を受けられないことが明らかになりました。そこでXは、契約の解除とその損害賠償を求めました。
(東京高判昭62.6.30)

◎判決
契約の解除を認めました。また、簡易建物の建築費・登記費用・税金について損害賠償を認めました。

◎解説
裁判所は、Yに対して「不動産の売買・媒介等の業務を行う者は、土地の売買契約を結ぶにあたって業者として当然、土地付近の状況を事前に調査」しなければならないと注意を促しています。

また「土地上に建物が建築できるか否かについて、建築基準法所定の問題点をも調査しておくべき義務がある」としています。この契約は、不法行為にあたるとしました。

ただし、この間の土地の値上がり益の喪失については認めませんでした。

十分な調査をしないで建築物の建築が可能な土地だと説明したことについて、不法行為が認められたということは、土地と道路の性格がいかに重要であるかということです。

◎不動産鑑定の見地から
このブログでも、接道義務について何度か取り上げてきました。

建物が建てられないと、本来の土地の効用を十分に発揮できません。そのような土地は、駐車場や資材置場等としてしか使用できないこととなります。

駐車料金・資材置場の賃貸料と、アパートの家賃を比べると、アパートの家賃の方が比較にならないほど高くなります。ですから、接道義務を満たさない土地の価格は、建物を建てられる土地の価格に比べて、ずっと低くなります。