空中権:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12120290706.html
空中権という言葉があります。
余剰容積利用権という言い方もされ、売買による移転も行われます。土地を立体的に有効活用し、どんな土地にも高層の建物を建てればテナントがいくらでも入るという幻想に酔っていた時代の産物でしょうか。
空中権の移転とは、高層の建物が建てられるところにそれよりも低い建物を建て、本来建てられる分の容積を他の土地に移転するものです。もちろん、そのタダではなく売買されます。
最近の事例で有名なのが、東京駅丸の内口の赤レンガ駅舎です。本来建築できる高さの部分の容積を周辺の土地に移転し、駅舎の復元工事費をまかなったのでした。
このように、空中権の移転は歴史的建造物の保護のためにも使われます。
世界的に有名なのが、ニューヨークのグランドセントラル駅です。あの建物も低層で、再開発によって高層の建物に建て替えられる計画がありました。
しかし、反対運動が起きて計画は撤回されました。そして、高層の建物が建てられる部分の容積は、周辺のブロックに移転されました。
東京駅の場合は、「大手町・丸の内・有楽町地区特例容積率適用地区」が指定されたことにより、周辺の土地に移転したものです。
通常は、都市計画法における特定街区、建築基準法における一団地認定等が活用されます。前者の例としては日比谷国際ビルヂング・日比谷セントラルビル、後者の例としては札幌ANビルが挙げられます。
さて、私たち個人の権利を守ろうとすれば、民法とその関連法規による他はありません。その民法等には、空中権という言葉がありません。
しかし、1966年の民法改正で区分地上権という概念が導入されました。区分地上権とは、空中を地上(または地下)何mまでをAに、その下(上)をBにと地上権を設定し、土地の有効活用をはかろうとするものです。
このケースは空中権を他の土地に移転するものではありませんが、モノレール・高架道路・高架鉄道・地下鉄等を建設する場合に活用されています。
空中権については、下のURLのページを参考にしてください。
http://www.homes.co.jp/words/k3/525001434/