埋没谷:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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日本の大都市圏は、ほとんどが湾に面し、大河川の下流に発達しています。
地球の気候には、氷河期と間氷期(氷河期と氷河期の間)が何度かあり、海退と海進が繰り返されました。現在は大都市圏になっている大河川の下流部は、氷河期には陸地で間氷期には海でした。
そして、深い谷だったところに川が運んだ大量の土砂が積もり、軟弱な沖積層の平野ができました。この平野に埋もれた谷のことを、埋没谷といいます。
間氷期には入江や川だったところです。ですから、ほとんどの大都市圏には、この埋没谷があります。埋没谷は、東京湾岸などには数えきれないほど、潜伏しています。
沖積平野は地盤が緩いので地震のときによく揺れます。そして、埋没谷では一段と揺れが大きくなります。
関東大震災のときの家屋の倒壊率を記載した地図があります。その地図に埋没谷を表す等深線(等高線を倒立させたパターン)を重ね合わせた地図をみると、倒壊率が40%以上の地域が埋没谷にあることがわかります。
埋没谷は、場所によっては谷底まで60メートル以上にも及ぶ分厚い軟弱層が堆積しています。ですから、そこでは地震動が増幅されます。それと同時に、谷の中で振動が乱反射して揺れが何度も地表を襲うことがあります。
こうした危険性のある埋没谷がどこに隠れているかを知るには、ビルの建設時のボーリング調査が最も確実です。首都圏や名古屋圏・大阪圏では、かなりはっきりと埋没谷の位置が特定されています。
埋没谷は、一般的にはまだ知られていません。しかし、どこにあるかが既にわかっていますので、建物が倒壊する前に何らかの対策がとれることでしょう。
埋没谷から避けた場所に家を建てるのが、最善の対策です。