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国土利用計画法:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12209178397.html
今回は、不動産用語の話です。
マイホームを建てる、自社ビルを持つ等の場合には土地取引が行われます。これについて、利用目的や価格をチェックすることにより規制を行っているのが、国土利用計画法(国土法)です。
同法の土地取引の規制の対象となるものは、条文では「土地売買等の契約」とされています。これは、以下の3つの要件に該当するものを指します。
①土地に関する権利の移転・設定
土地に関する権利とは、土地の所有権・地上権・賃借権またはこれらの権利の取得を目的とする権利(買戻権・代物弁済予約完結権等)をいいます。
抵当権や不動産質権等の設定または地役権・永小作権等の移転・設定については規制の対象とはなりません。
②対価授受を伴うもの
上記の地上権や賃借権の設定・移転における対価とは、権利金など一時金として支払われるものをいいます。よって、一時金の授受を伴わない地上権や賃借権の設定契約については規制の対象とはなりません。なお、対価は金銭に限られてはいません。
贈与は対価の授受を伴わないので、該当しません。
③権利の移転の契約・予約によるもの
相続や法人の合併・各種財団の承継等の包括承継による場合、土地収用・時効等の原始取得の場合については規制の対象となりません。
土地取引の規制の内容には、次の2つがあります。
①土地取引の許可制
「規制区域」が指定されると、その区域内の土地取引について、すべて都道府県知事の許可が必要となり、予定対価の額と利用目的の審査を受けることとなります。ただし、現在まで指定されたことはありません。
②土地取引の届出制
「監視区域」または「注視区域」が指定されると、その区域内の一定規模以上の土地取引を対象として、都道府県知事への事前届出が必要になり、予定対価の額と利用目的の審査を受けることとなります。
現在、監視区域は東京都小笠原村にしていされています。注視区域が指定されたことはありません。
上記の各区域以外の取り取引については、一定規模以上の土地取引を対象として事後届出が必要になります。
審査の結果、問題があると判断された場合、都道府県知事は必要に応じ助言または勧告を行います。勧告に従わないときは、その旨や勧告内容が公表される場合がありますが、刑事罰はありません。
許可制の場合は許可を受けない契約は無効となりますが、届出制の場合は届出をしない契約でも有効です。
古い話になりますが、オウム真理教が同法違反で告発されたことがありました。
同法について解説した国土交通省のウェブページです。
http://tochi.mlit.go.jp/torihiki/torihiki-kisei