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殺人事件のあった不動産:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ

https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12283281989.html

事故物件といわれる不動産があります。自殺があったり、殺人事件があったりした不動産です。

このような判決がありました。

◎事件の概要
1985(昭和60)年11月に、Xは最低売却価格が1,363万円のマンションを1,370万円で落札しました。

ところが、そのマンションでは約1年6カ月前に殺人事件がありました。しかし、評価書等はそれ以前に作成されていたため、この事実は当然記載されていませんでした。

買受人Xは、売却許可決定取消の申立てをしました。
(仙台地判昭61.8.1)

◎判決
売却決定を取り消しました。

◎解説
この殺人事件は、暴力団の組員がリンチにあって死亡するというものでした。買受人は、この事実を知らないままに競落しました。

裁判所は、「本件不動産の評価額は30%下落していると判断」すると示しました。その後、補充評価として出された評価書は、当初の評価書による最低売却価格について、この殺人事件による減価率を30%としました。

◎不動産鑑定の見地から
これによると、殺人事件による市場性減価率は30%と評価されたことになります。

本メルマガの第2号で、自殺のあった不動産についての判決を取り上げました。その場合の減価率は約13%でした。

すなわち、殺人事件のあった不動産の減価率は自殺のあった不動産の減価率の約2.3倍です。

減価率は、これらの事実により市場性が減退することを反映するものです。数値の適否はともかく、自殺よりも殺人の方が減価率が大きいのは頷けるものです。

また、殺人の方法によっても…と書こうとして、パソコンを打つ指が止まりました。そして、シカゴ学派の経済学者でノーベル経済学賞を受賞したゲーリー・ベッカーのことを思い出しました。

ベッカーが「浮気の経済学」を論じていた頃、ベッカー夫人が自殺してしまったそうです。

しかし、ベッカーはその後「自殺の経済学」を平然と論じたそうです。「妻は私と暮らすことによる苦しみよりも、自殺することによる苦しみの方が小さいと合理的に判断したから、自殺をしたのだ」と。

「市場参加者は全ての情報を知っていて合理的な判断をし、市場は完全に機能している」というシカゴ学派の立場からは、このような非人間的・反社会的な考え方が導かれます。

亡くなった方の無念を思うと、このようなことを論ずるのこれくらいにしておいた方がよさそうです。


■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………


ギャンギャン吠えてうるさい我が家の犬ですが、吠えているときに尻を向けると、あたふたして吠えるのをやめます。

なぜだろうと思っていたのですが、わかりました。息子の仕業です。

犬を捕まえてきて尻に犬の顔を押し付け、ブッ!!とやるのです。よほど臭いのでしょう。犬用のクッションにしきりに鼻をこすりつけていました。

ある時、息子が「犬に屁を嗅がせると死ぬというのは本当か」と訊いてきました。

こう答えました。「そんなことはない。僕が実家にいるときの飼っていた犬は、僕が屁をするとわざわざ嗅ぎにきたぞ。そんなことで死ぬんだったら、あいつは何十回も死んでるはずだ。」

タレントの高田純次が誰かの飼い犬の鼻先で屁をしたところ、その数日後にその犬が死んでしまったということがあったそうです。どうやら、その書き込みを息子がウェブで見つけ、急に心配になったのです。

でも私の話を聞いて安心したのでしょう。昨日もやっていました。

ブッ!!!!