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スーパーファンド法:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12287998623.html
日本では、東の豊洲・西の豊中の土壌汚染が問題となっています。
さて、4月13日のメルマガで取り上げたラブ・キャナル事件をきっかけとしてアメリカで制定されたのが、スーパーファンド法です。
この法律は、浄化に必要な費用を「有害物質対策信託基金」から拠出する点が特徴です。
1980年12月の創設当初の基金総額が16億ドル(当時の為替レートで約4,000億円)という巨額なものであったため、「スーパーファンド」という通称がつけられました。
この基金にあてられたのは、石油と化学製品に課した税金13億8,000万ドルと一般財源2億2,000万ドルでした。
その時までにアメリカで制定されていた環境法には、大気汚染防止法・水質汚濁防止法・資源保全回復法等がありました。これらの法律は、現在起きている環境汚染について規制するという点で共通しています。
しかしスーパーファンド法は、過去の行為によって引き起こされた汚染に遡及して対処することができます。この点がこの法律の目的です。
スーパーファンド法の特徴は、次の3点にあります。
①汚染の責任者を明確にし、連邦政府が命令または訴訟によって責任者に浄化 させる権限を持っていること。
②連邦政府自体が、浄化のための基金を持っていること(ただし、浄化にかか った費用は実際には責任者に請求して払わせます)。
③連邦政府が汚染された場所(汚染サイト)の指定、浄化の優先順位の決定、浄化の実施を行うこと。
汚染の責任者とされるのは、非常に広範囲にわたります。
汚染された施設の現在の所有者や管理者、有害物質が放出された時点での対象施設の所有者や管理者(過去の所有者や管理者)、対象施設に運び込まれた有害物質の発生者、対象施設へ有害物質を輸送した運送業者です。
さらに、裁判での判決によれば、企業の代表者・役員・従業員個人、企業の大株主・親会社、工場の購入者、金融機関等が責任当事者とされたこともあります。
そして、善意の購入者についても厳密な規定がされています。①購入前に有害物質について十分な調査をする。②第三者による予見可能な作為・不作為に対して注意を払う。③汚染物質があったことを知らずに購入したことを証明する。
どれも難しい条件です。
それゆえ、アメリカでは物件を購入する際にはできるだけ調査して汚染状況を明らかにしておくのが、常識になっています。そうしないと、後に自分が責任者とされ、莫大な賠償責任を負わなければならなくなるからです。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
無人島。絶海の孤島のイメージですね。連想するのは、ロビンソン・クルーソーでしょうか。
さて、実は東京湾にも無人島があります。猿島といいます。昔はともかく、今は観光地です。
先日、猿島に行ってきました。生憎の雨の中、神奈川県横須賀市の三笠桟橋から船で行きます。島なのだから当り前か。
猿島は、幕末からアジア太平洋戦争の終わりまで、首都東京を守る軍事拠点のひとつでした。
島には、煉瓦で覆われた要塞の跡があります。煉瓦積みの方法等には、興味深いものがあります。
さて、軍事拠点ですので先の大戦のときには、高射砲が設置されました。アメリカ軍の爆撃機を撃ち落とすためです。
しかし、東京大空襲等があったのでわかるとおり、ほとんど効果を発揮しませんでした。
高射砲の射程距離の上をB29が飛んだためだとか。これでは東京市民がバケツと竹槍の訓練をしなければならなかったのも、頷けます。
4月29日に、北朝鮮がミサイルを発射しました。東京メトロが全線で運転を停止しましたが、ミサイルが着弾してから30分後でした。
進化していませんね。実際にミサイルを撃たれたら、その時点でおしまいでしょう。