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建物の評価(相続税申告):不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12380190055.html
相続税申告にあたって、土地を評価することはよくあります。本件は土地に加えてその上にある建物の評価です。
建物は居宅で、かなりの建築費をかけた品等の高いものでした。しかし、床にある確認用のフタをあけると、ベタ基礎にはいつも水が溜まっています。そのため常に湿度が高く、フローリングの床が腐っていました。
周辺の土地は、特に地下水位が高いということはありません。そもそも、ベタ基礎に水が溜まるほど地下水位が高いとすれば、周囲は水田のようになっているはずです。
次に、雨漏りを疑いました。確かに、屋上の防水舗装は劣化しています。しかし、壁には雨が染み込んだ形跡がありません。
よって、上水道管の施工不良であろうと判断しました。
そのような状態ですので、建物は取り壊すのが相当です。ですから、建物価格をゼロにしたいところですが、それでは相続税申告が通らない恐れがあります。
したがって、建物価格を相当に減価し、かつ、建物の取壊費用を土地価格から控除して評価しました。
この評価は、2013年9月のものです。5年近くが経過しようとしていますので、是認されたものとしていいでしょう。
不動産鑑定評価の知識:不動産鑑定評価とは2
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不動産鑑定評価の知識をご紹介します。まず、不動産鑑定評価そのものについて、前回に引き続きご説明します。
不動産鑑定士が準拠すべき実務上の指針である「不動産鑑定評価基準(以下、「基準」といいます)は、不動産の鑑定評価について次のように規定しています。
不動産の鑑定評価は、その対象である不動産の経済価値を判定し、これを貨幣額をもって表示することである。それは、この社会における一連の価格秩序の中で、その不動産の価格及び賃料がどのような所に位するかを指摘することであって、…高度な知識と豊富な経験及び的確な判断力を持ち、さらに、これらが有機的かつ総合的に発揮できる練達堪能な専門家によってなされるとき、初めて合理的であって、客観的に論証できるものとなる。
不動産鑑定士が全て「練達堪能な専門家」であるかどうかはさておき、さらに詳しく不動産鑑定評価を定義するならば、次のようになるでしょうか。
一般の商品の価格が自由なプライス・メカニズムの下で形成されるのに対し、不動産は個別性が強く、取引市場も局限されているので、自由なプライス・メカニズムが成立し難い。不動産、特に土地の適正な価格を求めようとすれば、合理的な市場の価格形成機能に代わって不動産の適正な価格を判定する作業が必要となる。このような意味で、不動産の鑑定評価とは合理的な市場があったならばそこで形成されるであろう正常な市場価値を表示する価格を不動産鑑定士が的確に把握することを中心とする作業である(日本不動産研究所編「不動産用語辞典第7版」より)。
要は、不動産は特殊な財なので市場原理が働きにくく適正な価格形成がされるとは限りません。そこで、市場になりかわって不動産鑑定士が市場価値を求めるのが不動産鑑定であるということになります。
編集後記
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ボケない知恵(永六輔著)より
「私の学校では皆勤賞は出しておりません。不登校の子を刺激してもいけませんから」
私は小中学校のころ、学校が嫌いでした。ズル休みなんかしょっちゅうでしたから、皆勤賞なんてどこが偉いんだ、と思ったことがあります。ホント、皆勤賞って何の意味があるんだろう?