方位:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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今回は、土地の増減価要因の話です。
土地は、どの方角が道路に面しているかで、価格が異なります。住宅地では、通常は南側が一番高くなります。そして、東・西・北の順で、価格が下がっていきます。その要因は日照です。南側が道路に面していると、日当たりが良いですから。
しかし、これが成り立つのは一般的な住宅地の場合です。一区画当たりの面積が相当に大きい高級住宅地では、北側が道路に面している土地が好まれる場合があります。
家の南側は、日光を取り入れるため窓が大きくとられます。南側が道路に面していると、通行人から覗かれることがあります。これを嫌って、北側が道路に面している土地が選ばれるわけです。建物の北側は、台所やトイレ等の窓が小さいものにすればいいのです。
商業地では、南向きの土地が好まれない場合があります。商品に陽が当って、色褪せてしまう恐れがあるからです。東京の神田古書店街では、靖国通りの南側、すなわち北向きの土地に古書店が建ち並んでいます。もちろん、売り物である本を保護するためです。
また、沖縄のような日差しの強い地域では、暑さを嫌って南向きの土地は好まれないと聞いたことがあります。
なお、相続税路線価を基に土地の評価をする場合は、道路の方位は考慮されません。
さて、マンション用地では、北向きの土地が高くなることがあります。それは、日影規制が適用される場合です。マンションによって日照を阻害された人たちの運動である日照権運動の結果、1976年の建築基準法改正で日影規制は導入されました。
日影規制とは、冬至の時期に建築予定の建物が敷地の北側の土地に落とす影の時間と範囲とを規制するものです。実務では、CADによって等時間日影図を作成し、規制の範囲に影が収まるように建物を設計します。ですから、日影規制がある場合には建物の高さは低くなり、規模は小さくなります。
この日影規制では、影が落ちる土地が道路である場合には、規制が緩和されます。道路の日照は、住環境に関係がないからです。したがって、北向きの土地は日影規制の影響を受ける度合いが少なくなり、マンション用地としては北向きの土地が選ばれる場合があります。
下のURLは、東京都渋谷区のものです。よろしければ、ご参考になさってください。
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/house/nitiei.html