都市計画道路:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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今回は、土地の増減価要因の話です。
2号前の判決についてのメルマガで、都市計画道路を取り上げました。ちょうどよいですので、増減価要因でも取り上げることとします。
ある土地が市道に面していて、その市道の幅員を広げることが都市計画で決定されたとします。その結果、その土地の一部が道路拡幅予定地に組み込まれたケースがしばしば見られます。
道路のすぐ脇の土地が、相当の長さで空地になっており、その背後に建物が建っているような場合です。
都市計画法53条1項では、その拡幅予定地に建物を建てる場合には、都道府県知事の許可を受けなければならない、としています。
そして、許可を受けることができる建築物は、地階がなく2階建以下で、主要構造部が木造その他容易に移転・除去のできるものでなければなりません。ただし、自治体によっては3階建てが可能なところもあります。
郊外の道路沿いで、周辺の建物が2階建てのものばかりであれば、これによる土地価格の減価はないかもしれません。拡幅予定地であろうとなかろうと、2階建ての建物しか建てられないのですから。
ところが、これが都心部の相当の容積率がある地域だと、話は別です。例えば、本来ならば5階建ての建物が建てられるはずなのに、2階建ての建物しか建てられなくなるからです。土地価格が大きく減価するのは、間違いありません。
では、不動産鑑定では、この減価をどうとらえるのでしょうか。土地利用制限率の考え方を適用するのが、一般的です。
すなわち、まずその土地が拡幅予定地でないとした場合に想定される建物の階数を査定します。この場合、めいっぱい高い建物を建てても空室ばかりになると考えられるときは、それ以下の階数となります。
次に、拡幅予定地であることを考慮した建築可能階数を査定します。
そして、各階の階層別の効用を考えます。1階部分は100、2階部分は80というふうにです。
そして、その数値で表した効用を各階の面積に掛け、それぞれの場合の効用の合計数値を比較します。これによって減価の程度がわかるわけです。
なお、都市計画決定の段階から一歩進み、事業認可がされた場合は、建物の建築はより一層厳しくなります。
しかし、その場合で道路用地の買収が現実になると、時価による買い取られるため、減価する必要がなくなるケースもあります。