日影規制:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12077738049.html
今回は、不動産用語の話です。日影規制について取り上げます。
ある程度の年齢以上の方ならば、「日照権」という言葉を聞いたことがあると思います。その名のとおり、日照を確保する権利のことです。
私が小学生だったころ、あちこちで日照権紛争が起きていました。南側の土地に高い建物が建つと、その土地の日あたりが悪くなります。そこで、建築主や地方自治体に対して建物の高さを低くするように要請する運動が起きたわけで
す。
これに対しては、自治体が指導要綱を作り、建築確認にあたっての行政指導によって日照権を保護してきました。
この動きを受けて、1976(昭和51)年11月に建築基準法が改正され、「日影による中高層の建築物の高さの制限」が盛り込まれました。
余談ですが、この改正前に駆け込みでマンションの建築が相次ぎました。東京都杉並区付近の青梅街道は東西に延びています。幅員が広くて道路斜線制限が緩いため、高い建物が経ちます。
ところが道路北側に建物を建てると、北側の隣地に影が落ちます。ですので、道路北側には駆け込みで建てたマンションが並んでいます。
さて、日影規制とは冬至の日に落ちる影の範囲と時間を規制するものです。その影は、以前は日影定規を用いて計算しましたが、現在では当然CADを使います。
日影規制を適用できるのは、住居系の用途地域・近隣商業地域・準工業地域です。もちろん、これらの用途地域に必ず適用しなければならないものではありません。地方自治体の判断によります。商業地域・工業地域・工業専用地域には適用されません。
たとえ影が落ちる隣地の所有者の承諾を得ても、日影規制による制限を超える建物は建てることはできません。どうしても建てたければ、隣地を買収したり借地権を設定したりしなければなりません。
自己日影という言葉があります。大きな敷地に複数の棟のマンションが建っている場合、ある棟の影が別の棟の影に落ちることがあります。これにより日照が害されても、日影規制による制限は受けません。
なぜなら、これは日影規制が保護する隣地所有者の日照を阻害するものではないからです。
下記は、横浜市の日影規制についての解説です。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/shidou/anzen/toriatukai/nitiei.html