建築協定:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
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大規模な分譲住宅地を歩くと、街並みが整っていることに気がつくことがあります。このような街には建築協定が定められていることがあります。私の記憶では、横浜市内の東急田園都市線沿線に多くみられます。
そもそも、建築基準法は建築における最低基準を全国一律的に定めたものです。よって、この法律では満たすことのできない地域の個別的な要求を実現するために用意されたのが建築協定です(同法第69条)。
同法の最低基準に、一定の区域の近隣住民相互の合意による建築に関する制限を協定基準として加え、自ら遵守しようという制度です。
この基準によって街づくりが行われますので、その区域における効果は、都市計画法に定める地域地区に比較的近いものです。
この建築協定は、民法上の協定(契約)とされます。しかし、特定行政庁の認可・広告・縦覧という法的な手続きを経るため、協定締結後(効力の発効後)は、その協定を締結した者だけではなく、その後にその地域の土地の権利を取得した者にも効力が及びます。
ですので、個人の意思に基づいて成立する契約等の私法原理からは発生しない独特のものといえます。
建築協定の特則に、一人協定があります。
ディベロッパーによる大規模開発の際に、土地所有者であるディベロッパーが一人で協定を定めるものです(同法70条・76条の3)。あらかじめ、ディベロッパーが街づくりを想定するのですね。
建築協定の効力は、認可の公告の日から発生します。
また、上記のように、認可の公告のあった日以後に協定区域内の土地の所有者となった人にも及びます。
しかし、私法上の契約であるので公法的な効力はありません。建築協定に定められた建築基準は、建築主事が行う建築確認の対象となりませんし、協定違反を理由に特定行政庁が是正命令や代執行を行うこともできません。
協定を締結するにあたっては、土地所有者等の全員の同意が必要です。協定の変更も同様です。廃止する場合には、土地所有者等の過半数の同意が必要です(同法74条・76条)。
建築協定について解説した、国土交通省のウェブページです。クリックしてみてください。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000002.html