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カビが発生したマンションの家賃:不動産鑑定士嶋内雅人のブログ
https://ameblo.jp/daigotukune/entry-12837033175.html
マンションのような居住用不動産は、住環境が良好か否かがポイントです。こんな判決がありました。
◎事件の概要
Xは、月額賃料21万7,000でマンションに入居しました。そのマンションは、住環境が良好だというのがセールスポイントでした。
ところが、入居したところ雨漏りがして室内にカビが発生したため、Xは賃料の支払いを拒否しました。
貸主である不動産業者は未収賃料を請求しましたが、Xは賃料の減額を主張して争いになりました。
(東京地判平6.8.22)
◎判決
月額賃料7万3,000円が妥当だとしました。
◎解説
Xが入居したのは、1988年6月でした。雨漏りによって室内にカビが発生し、Xの所持品にもカビが発生するようになりました。
Xは2年後の1990年6月以降の賃料の支払いを拒否し、1992年5月についに退去するに至りました。
不動産業者は、未収賃料と現状回復費用の支払いを請求しました。
Xはこれに対して、住環境が良好だと宣伝しておきながら、雨漏りがしてカビが発生するなどその宣伝とはほど遠い住環境であるので、21万7,000万円の月額賃料を支払う価値がないと主張しました。
裁判所は、「それほど高額の賃料を支払う価値のないことが判明すれば、実体に見合った賃料額に減額されるべき」としました。
そして「月7万3,000円が妥当である」と判示しました。Xの所持品に生じたカビは「賃借物件の隠れた瑕疵によって生じた損害である」として「50万7,300円」の支払いを貸主に命じました。
◎不動産鑑定の見地から
家賃の水準の是非はともかく、雨漏りがしてカビが発生するのでは、当初の家賃が認められないのは当然でしょう。
当初の家賃を請求するのであれば、相応の修繕が必要です。しかし、建物の欠陥によっては膨大な修繕費が必要になる場合もあります。
雨漏りがしたのが何階かはわかりませんが、下層階であれば修繕費が高額になり、建て替えた方が安上りになるとも考えられます。
■編集後記■━━━━━━━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………
新年早々、大きな地震が能登半島を襲いました。お亡くなりになった方々をお悼み申し上げるとともに、大変なご苦労をなさっている方々をお見舞い申し上げます。
被災者の方々の救援がなかなか進んでいないようです。平成の大合併によって行政が遠くなり、また、「効率化」を推進することによって予算や人員が削られたからではないか、との指摘があります。
当たっているかもしれません。地方公務員がどんどん減少しています。住民サービスに影響が出ないはずがありません。
さらに、地震の翌日には羽田空港で航空機の事故がありました。管制業務の人員が削減され、一人当たりの業務量が1.8倍になったそうです。
人災の側面もありそうです。